始めに
皆さんは『副都心線』をご存じでしょうか。
副都心線とは、
東京メトロが運営する埼玉県和光市駅から東京都渋谷駅までを結ぶ地下鉄を指します。
そして、なんといってもこの路線は、池袋・新宿・渋谷といった副都心の駅を抑えている利便性が特徴的で、『どこへでもアクセスしやすい点』が魅力として挙げられます。私も普段からお世話になりっぱなし。
そして、副都心線の魅力は利便性だけにとどまりません。
私が考える副都心線のもう一つの魅力は、
『ベンチのデザインが駅ごとに違う点』です。
なんと副都心線は駅ごとにベンチのデザインが違うのです。
どれも駅ごとに特徴があり、カッコよさと可愛さを兼ね備えたデザイン。見るたびに座りたくなります。
これは東京メトロ内で見ても非常に珍しく、特異なベンチであるといえます。
しかし一点だけ、
どうしても納得のいかないギモンがあるのです。
そのギモンとは、
『なぜか和光市駅から小竹向原駅の6駅だけ省かれていて、オリジナルベンチではないこと』です。
不思議なことに、
和光市駅から小竹向原駅だけは、他線の駅でもよく見る黒のベンチが設置されており、オリジナルベンチではないのです。更にいえば、渋谷駅はオリジナルはオリジナルでも、アクリル製ではない謎のベンチ。法則が理解できない。
とにかく、なんらかの理由があって、
和光市駅から小竹向原駅はオリジナルベンチの設置対象から省かれているようです。
そして、
こんな不可解が目の前にあったら、誰しもこう思います。
……あまりにも収まりが悪すぎる
和光市駅から小竹向原駅だけオリジナルベンチがないというこの収まりが悪さ。
果てしなくおこがましい欲求ですが、
和光市駅を始めとする6駅のオリジナルベンチも見てみたい……!!
しかし、一般人たる私にその願望を叶える力はなく、当然ながらその願望を実現させることは不可能に近いです。答えはメトロのみぞ知るところ。
ただ、
省かれた6駅のオリジナルベンチを勝手に考えてデザインし、私だけが満足することなら可能です。
『実現』できなくとも、『欲求』を満たせればそれでいいのです。
よって本記事では、
『省かれた和光市駅から小竹向原駅のオリジナルベンチを作っていきます』
解説
とはいえど、ベンチをデザインするためには、まず目下のナゾである、
『なぜ和光市駅から小竹向原駅にはオリジナルベンチがないのか』
というナゾを解く必要があります。なんの情報もなしに見切り発車で作り始めるのは危険が過ぎますし。
そして必死こいて調べた結果、
東京メトロ公式が運営している、メトロアーカイブアルバムによれば、
どうやらこのオリジナルのベンチは2008年に副都心線の新たな駅として、
雑司ヶ谷駅から渋谷駅の6駅が新設された際に作られたモノの一部であるらしいことが分かりました。
だから2008年以前からある和光市駅から小竹向原駅はオリジナルのベンチではなかったのです。
そして、
テキトーかと思っていたオリジナルベンチのデザイン案は、
『デザインコンセプト』と『ステーションカラー』
という、新設される駅内のデザインのために各駅に設けられた、
駅の周辺状況や歴史、文化から成る駅のデザインテーマが元になっています。
どういうモノなのか? 百聞は一見に如かずということで、
実際の駅のデザインコンセプトとステーションカラーを紹介します。
各駅周辺の情報がテーマとしてデザインコンセプトに、色としてステーションカラーに変換されていますね。
例えば、西早稲田駅ならば、
西早稲田駅は新宿区戸山に位置し、近隣には早稲田大学や学習院女子大などの学校施 設に加え、旧尾張屋敷の戸山公園や神田川などがあり、緑と水に恵まれた地域となっている。
といった駅周辺の様々な情報から、
デザインコンセプトは、『文教』と『水流』、
ステーションカラーは、水流のイメージから『水色』と決められたようです。
要はデザインコンセプト・ステーションカラーとは、
駅をデザインするために、駅周辺の情報から設計者たちが考えた駅のテーマのことを指す
と私は認識してます。
『デザインコンセプト・ステーションカラーが駅をデザインするためのテーマだとしたら、駅デザインの一環でできたオリジナルベンチとも当然深い関わりがあるハズ』
と考えて調べたら、やはりビンゴでした。
メトロアーカイブアルバムによれば、
ベンチの特徴的な模様は、各駅のデザインコンセプトに基づいて作られたデザイン画を反映したモノらしい。
先程紹介した、
西早稲田駅のデザインコンセプトの一つである『水流』、ステーションカラーである『水色』もしっかりとベンチのデザインに反映されていますね。
よってまとめると、メトロアーカイブアルバムから、
オリジナルベンチは駅新設工事の一環で作られ、
和光市駅から小竹向原駅は工事の必要がない駅なため、ベンチは変わらなかった。
デザインコンセプト・ステーションカラーは駅をデザインするために定められた駅のテーマであり、各駅のベンチのデザインとも密接に関係している。
という、以下の2点が明らかになりました。
千川駅と要町駅がホームドアの工事のついでにデザインコンセプト・ステーションカラーが定められ、オリジナルベンチが設置されたことから考えても、
やはり和光市駅から小竹向原駅は可哀そうだと思う。泣いていい。
では、
謎も解消し、オリジナルベンチのデザイン元が分かったのでさっそく始めていきます。
作業手順は上の通り、手際よくやっていきます。
①6駅の駅周辺の文化や歴史を調べる。
ます初めのステップ、
ベンチデザインの元となるデザインコンセプト・ステーションカラーを定めるために、省かれた6駅の駅周辺の文化や歴史を調べます。
また、このような真面目な調査を行うのは中学校の社会科見学以来であるため、
『下調べ→実地調査』
という単純明快な方法で6駅の調査を行っていきます。
コレだと断言できる程有名なスポットや歴史、文化が少なかったため苦戦を強いられました。和光市とか下調べが足りずに2回も行きましたし。
しかし、どうにかこうにか情報をまとめきることができました。
②デザインコンセプト・ステーションカラーを決める。
2つ目のハイパー大事なステップ、
集めた情報からベンチデザインの根本となる、
デザインコンセプト・ステーションカラーを決めます。
決める方法として、2つの基準を用意しました。
1つ目は、
既に設定されているテーマと並べても違和感が出ないような単語、テーマにすること。
2つ目は、
千川駅から渋谷駅のテーマがそう設定されたように、
新設された6駅の全体コンセプトである「駅を楽しみ、地域を楽しむ駅」を厳守し、駅ごとの周辺状況や歴史、文化を踏まえたテーマにすること。
この2点を適度に守りつつ、決めていきます。
和光市駅
デザインコンセプトは、
『湧き水』と『ベッドタウン』
ステーションカラーは、
『ミッドナイトブルー』
まずは、デザインコンセプトの説明から、
『湧き水』
かつて湧き水が豊富に湧く土地であり、江戸期には川越街道の宿場である白子宿の繁盛に一役買った程でした。
都市化が進んだ今でも市内にある湧き水スポットは20を超え、湧き水の保全活動を行うNPO法人も定期的に活動をされているそうです。
要するに、めちゃめちゃ湧き水がすごい。
上の画像で紹介している冨澤湧水は、
特に有数の湧き水スポットであり、白子湧水群として最大水量を誇る。さらに、市内の生活用水の5%も占めているようです。すごい。
一部封鎖されている場所もありますが、
他にも多くの湧き水スポットが存在し、見て回ることができます。
また、湧き水スポットを見て回る際には『和光・緑と湧き水の会』というNPO法人が下のサイトにて、非常に分かりやすい湧き水マップを配布して下さっているので、是非使うことをオススメします。
ちなみに、全部回ると足腰しぬほど痛くなるので覚悟の準備をしておいてください。
よって、
駅の周辺状況や歴史、文化を踏まえに踏まえまくったおあつらえ向きのテーマであると考えたため、湧き水をデザインコンセプトの1つに定めました。
『ベッドタウン』
和光市公式ホームページによると、
和光市は戦後、東京に隣接する土地の特性を活かして、急速にベッドタウンとして人口を増やしました。
また、江戸期にはその豊富な湧き水から、川越街道に6つある宿場の1つとして白子宿が栄えたそうです。
和光市は過去、現在共に、夜を越す場所として栄えており、それを歴史や文化として市が公開している。
よって、2つの基準も満たしているため、デザインコンセプトに選びました。
ステーションカラー
ステーションカラーは、
夜のイメージである黒と、湧き水のイメージである水色が合わさった色である
『ミッドナイトブルー』を選びました。
ちなみに、メトロアーカイブアルバムの副都心線建設史には、各駅のステーションカラーの採用基準が書かれていなかったので、選ぶのにとんでもなく頭を抱えました。書いてよ。
地下鉄成増駅
デザインコンセプトは、
『親しみ』と『生活感』
ステーションカラーは、
『モスグリーン』
デザインコンセプトの説明から、
『親しみ』×『生活感』
地下鉄成増駅周辺は商店街が多く、生活しやすい土地。
駅前にはなんと、5つもの商店街が賑わいを見せています。
- 『なりますスキップ村』は通行者が多いため、チェーン店が多かったり、
- 『南商店街』は最も店舗数が多かったり、
- 『すずらん通り商店街』は個人店が多かったり、
- 『北口通り商店街』は、駅から少し離れているため、周辺住民が好んで利用したりと、
それぞれに異なる特徴があり、地元の人に親しまれているそうです。
また、成増はモスバーガー発祥の地であり、
モスバーガー第1号店があるのも成増の特徴の1つです。どうやら1972年できたらしい。
5つの商店街などの周辺状況から、2つの基準を満たしていると判断したため、
『親しみ』と『生活感』をデザインコンセプトに選びました。
ステーションカラー
ステーションカラーは、
『モスグリーン』を選びました。
「1号店があるならそりゃあこれしかねぇですわい」と思い即決です。
そう、モスバーガー1号店があるからです。
地下鉄赤塚駅
デザインコンセプトは、
『大仏』と『水景』
ステーションカラーは、
『錆浅葱(さびあさぎ)』
1つ目のデザインコンセプトは、
『大仏』
浄蓮寺自体は1400年前後に創建されたお寺なのですが、
1997年の意外と最近に世界平和と万民救済の願いが込められた大仏さまが建立されました。高さは13メートル・重さは32トンと、ビビるくらい大きくて重い。
しかしそれもそのハズ、
青銅製の鋳造大仏としては、奈良、鎌倉に続いて日本で3番目に大きい大仏なのです。
よって、これも周辺文化や歴史との折り合い、日本で3番目の大仏というネームバリューを加味して、デザインコンセプトに選んでも遜色ないと判断しました。
『水景』
2つ目のデザインコンセプトは水景。
今は上の画像の通りに、暗渠化(川にフタをすること)されて道になっていますが、
かつての前谷津川は赤塚内において欠かすことのできない川であったらしく、川沿いには水田が広がり、前谷津川の水は、生活用水、水田用水、農業用水として幅広く使われていたようです。
その過去を示すかのように、水車公園という、
その昔の前谷津川の水景の名残を再現する公園もあり、川が暗渠化してしまった今もなお、前谷津川の水景を感じることができます。
よって、
過去に地域の景観でもあり、市民をも支え、今もなお存在感を放つ前谷津川の水景。
歴史や周辺状況、文化の全てを網羅しているため、デザインコンセプトとして採用しました。
ステーションカラー
ステーションカラーは、
『錆浅葱』を採用しました。「さびあさぎ」と読むそうです、初見じゃ絶対分からん。
錆浅葱とは、くすんで淡い色調の青緑のことらしく、大仏が誇る青銅のサビの色にピッタリだと思い選びました。名前「錆」も入っていますし。
平和台駅
デザインコンセプトは、
『道』と『安らぎ』
ステーションカラーは、
黄緑
2つのデザインコンセプト、
『道』
ここは驚くことに江戸時代から存在したらしく、かつては富士大山街道と高田道が交わる交通の要衝だったようです。
また、交差点前にはかつての地名と里程が彫られている丸久保馬頭観世音が設置されており、練馬区によると、どうやらこれは江戸時代中期に作られたもののようで、これまた歴史の深さがうかがえます。
よって、
過去から現在も交通の要所として交通量が多いことから、『道』を1つ目のデザインコンセプトに決めました。
『安らぎ』
平和台という地名は市民の投票により決まったのですが、
その名の通りとても平和で安らぎのある街並みがどこまでも続いています。
かつてはキャベツ畑が多く、開発されて住宅街が多い今の街並みに落ち着いたそう。
よって、
地名の由来や、駅の周辺状況からこのデザインコンセプトに決めました。
ステーションカラー
ステーションカラーは、
『黄緑』
黄緑にはやすらぎやリラックスなどのイメージを与える色であり、落ち着いた平和台の街並みにピッタリだと思い、採用しました。
氷川台駅
デザインコンセプトは、
『桜』と『氷川神社』
ステーションカラーは、
『桜色』
1つ目のデザインコンセプトは、
『桜』
氷川台付近の桜というと、一般にはあまり有名ではありませんが、
氷川台駅のすぐ横を流れる石神井川沿いの桜はかなりのモノです。
板橋区も『板橋十景』という板橋らしさを感じさせる風景の1つに認定しており、どうやら区がPR動画を出す程度には力が入っている様子。とんでもない画質ですし。
川沿いの水と緑を楽しむ散策路を歩きながら、長く桜を楽しむことができるのが魅力で、歩いていけば城北中央公園というとにかくデカい都立公園もあり、そこの桜も素晴らしいモノでした。花見の時期には多くの市民で賑わっています。
よって、周辺状況を加味して、『桜』をデザインコンセプトに選びました。
『氷川神社』
氷川神社は、氷川台の町名の由来である鎮守杜。須佐之男命が祭神であるそう。
1457年も前に渋川義鏡さんが石神井川付近で湧き出る泉(お浜井戸)を見つけ、須佐之男命を祀り武運長久を祈ったことに始まったと言われています。はちゃめちゃに歴史が長いですね。
その氷川神社の起源ともいえるお浜井戸。
かつて毎年4月、今では3年に1度、神輿が里帰りする「神輿渡御行列」という催しが行われます。
私も一目見ようと、お浜井戸へと赴いたのですが、入り口は鎖で閉ざされていうために入ることは叶いませんでした。悔しい。
よって、
地名の由来である氷川神社は、駅の周辺状況や歴史、文化にバリバリ関りがあるため、『氷川神社』をデザインコンセプトに決めました。
ステーションカラー
ステーションカラーは、
『桜』
当然、石神井川沿いの桜並木から来ている。
始め、東新宿のデザイン画やステーションカラーを見て、「どう見ても桜がモチーフだから選べないじゃん」と悔やんだりもしたのですが、モチーフはつつじであったため全然セーフでした。
小竹向原駅
デザインコンセプトは、
『富士塚』と『交通網』
ステーションカラーは、
『銀鼠(ぎんねず)』
デザインコンセプトはの由来は、
『富士塚』
まずそもそも富士塚とはなんぞやというハナシですが、
富士塚とは、富士信仰のもと富士山に模して造られた人口の山のこと。
そして富士塚の歴史は案の定長いようで、江戸時代に始まります。
富士山信仰盛んな中、富士山まで行って登拝できない人のために、だいたい江戸の終わりごろから、登拝すると富士山に登ったと同じご利益があるとされた富士塚は各地に築かれ始めました。そんなお手軽なことあるんだ。
そしてここ、小竹向原駅から少し歩いた先にある、
今から約200年前の江戸後期に築造された歴史深さ、高さ約8メートル、直径約30メートルという富士塚全体で見ても有数の大きさから、
なんと、江古田の富士塚は国指定重要有形民俗文化財に指定されています。国指定と聞くと急にすごく感じる。
よって、
特に歴史の観点から『富士塚』をデザインコンセプトに採用しました。
『交通網』
小竹向原駅は様々な路線が交わる駅で、
東京メトロ副都心線、東京メトロ有楽町線、西武池袋線の3つが通っています。
よって、
どこへでも足を延ばしやすく、様々な路線が交わっているため、デザインコンセプトに『交通網』を選びました。
ステーションカラー
ステーションカラーは、
『銀鼠』に決めました。「ぎんねず」と読むそうです。
銀鼠は江戸中期、派手な色の着物が禁止された際に流行った色です。富士山と似た色、富士山信仰が盛んになった江戸中期と、色々被っており適していると判断したためこの色にしました。
まとめ
6駅のデザインコンセプト・ステーションカラーはコチラ。
ステーションカラーの色合いが親戚の集まりで見る服みたいになってますね。華があるハデな色は既に取られてるから仕方ない。
デザインコンセプトのための調査しながらこれらを決めていた約2か月の日々は、毎日が小中の社会科見学のようで非常に充実しておりました。ただ質と量は当時の10倍近くに感じましたが。
③デザイン画作成
ようやくデザインを作れるまで辿り着けました。
ここでは、上のようなベンチの元になるデザインを考えていきます。
始めは、モチロン私自身が全て描いてやろうと考えていたのですが、
デザインのアイデアを下書きしている際に、
『真理』に気付いてしまい、絵心の壊滅さから起こりうる『企画の敗北』を察知、
大人しく清書は色彩とデジタルイラストに精通している友人に任せることにしました。感謝。
先程決めた6駅のデザインコンセプト・ステーションカラーから、駅ごとのデザインを考えて描きに描く、とにかく数を描く。
デザインが1つに絞れたら、再度紙に描き起こし、デザインの意味やモチーフ、だいたいの色を指定し、清書してくれる友人に送ります。直撮りで。
そして、完成形となり、私の元へ帰って来たデザイン画たちがコチラになります。
素晴らしい完成度、最高の清書。思わず電車の中で「公式じゃん」と声が漏れました。
このデザイン画は、
和光市の夜に光の泡が浮いているイメージで作成したモノです。
『ベッドタウン』要素で、夜をステーションカラーであるミッドナイトブルーで背景として表現。
そして、『湧き水』要素である泡の一部に光を纏わせることで、『輪=和 光』として、デザインに無理やり地名をねじ込みました。
こんな言葉遊びで大丈夫かと心配でしたが、大丈夫でしたね。素敵なデザイン画になりましたし、なによりオリジナルのデザイン画の雰囲気に似せられたので大満足です。
このデザイン画は、
『大仏』と川を兼ねた色に見える『錆浅葱』をベースにして、
地下鉄赤塚周辺のかつての『水景』をイメージして作成しました。
水のイメージである青色も含んだ錆浅葱を背景に、
前谷津川の名残の象徴である水車公園の水車を並べ、川・水の流れを模様として描き起こし、水景を表現しました。
これめちゃめちゃ良くないですか? 自分で言うのもアレですけど。
ビビるくらい色が寄ってますが、完全な偶然です。
それぞれ特徴が異なる5つの商店街から成る成増の良い意味での乱雑さをイメージして作成しました。
丸や三角、四角を不規則に配置することによって、『生活感』と5つの商店街、商店街の店のそれぞれ異なった個性を表現しています。
過去現在において交通の要衝である駅前の『道』と、江戸期に頻繁に使用された交差点の2つ、『道』の方のデザインコンセプトに重きを置いて作成しました。
交差する線に点線をあしらい、道と交差点を表現することによって、昔から変わらない平和台の街並みを表現したつもりです。
風に揺られて石神井川に落ちる桜の花びらや桜蘂(さくらしべ)をイメージして作成したデザイン画です。
桜の季節、多くの桜や桜蘂が石神井川に浮かんでいることを参考に、氷川台を表現しました。
このデザイン画は、江古田の富士塚に焦点を当て、富士山の歴史と対比するようなイメージで作成しました。
富士山関係のデザインでよく見られる雲や伝統的な富士山のカタチ、その中に江古田の富士塚に適用することによって、富士山と密接な関係にある富士塚を表しました。
まとめ
以上が、
私がデザイン、友人が清書した和光市駅から小竹向原駅までのデザイン画です。
壮観ですね。
トライアンドエラーと友人の協力の甲斐あってか、
初めてのデザインにしては、その駅ごとのデザインコンセプトとステーションカラーの要素をうまい具合に差し込め、自分が納得できるデザイン画になってくれました。嬉しい限りです、いやホントに。
特に氷川台なんてのは普通にデザインとして好みなので、企画関係ナシに描けて良かったと感じます。良くないですか?
④デザイン画からベンチをデザイン
いよいよこれで終わり、ファイナルラストスパートです。
先程、友人の協力の元完成させたデザイン画をベンチする最後の過程をお見せします。
ベンチとして出力するモノとして、
実物の模型やイラスト、はたまた電子の中だけですが3Dモデルなど、様々な選択肢が挙がりました。
その中から悩みに悩んだ結果、今回はどこにでも簡易的に飾れて普遍的なモノ。
『イラスト』としてベンチを出力することに決めました。
イラストということで、またもや友人が手伝って描いてくれることに。優しすぎるありがとう。
そして悲しいですが、6駅全てをイラスト化することはできないので、
ベンチとして出力する1駅を決めます。1駅に心血を注ぎ切ります。
そしてお察しの通り、イラストはもうシロートが下書き云々で手出しできる問題ではないので、
出力する駅を決め、細かな注文・指定済ませた後は、資料の提供や雑用など完全な裏方に回ります。やれることをやった後はひたすらに祈り続けました。
そして、約3か月間渇望し続けたベンチは遂に完成の時を迎えました。
それがコチラになります。
ッッ!?!?(膝から崩れ落ちる音)
『地下鉄赤塚駅』のデザイン画をベンチとして出力しました。
理由は単純で、
「デザインコンセプトを一番綺麗にデザインに組み込めたから」と、単純に「好きなデザインだから」に他なりません。
素晴らしい、本当に素晴らしいデザイン・イラストです。
私が頭の中で思い描いていたベンチが現実にポンと現れたような不思議な感覚。
床やホームドアなど細かいところもバッチリ再現してくれて、本当に頭が上がりません。
オーソドックスな黒のベンチから一変して、その駅の特徴がふんだんに盛り込まれたオシャレなカラフルベンチへと昇華。
こういうのでいいんだよ、こういうので。
ずっと見たかったモノがやっと見れました、
大満足です!!
終わりに
ここまで読んでくださってありがとうございます。
めちゃ長くなかったですか? 大丈夫??
当然ベンチを出力できたことも✙忘我混沌の歓喜✙ですが、
『和光市駅から小竹向原駅までのポッカリと空いていたデザインコンセプト・ステーションカラーを勝手に補完できたこと』
もおんなじくらいに楽しいし嬉しかったです。自己満足の境地を味わい尽くしましたわい。
そしてそして、
デザイン画の清書、指示通りの素敵なベンチイラスト作成、さらにさらにレイアウト画像作成の手伝いまでしてくれたホットさん、ホントのホントにありがとう。
完成する直前、そして完成した後
「地下鉄成増駅のステーションカラーはどう考えてもモスグリーンじゃあないだろ。色名の由来コケだぞ!?」
と抵抗してくれましたね。他は譲ってもソコだけはぜってぇ譲んなくてすんません。でもやっぱモスグリーンなンだわ。
また実際に歩き尽くして分かりましたが、
和光市駅から小竹向原駅は想定の7倍は見どころがあり、面白いので時間があったら行ってみるのも面白いかと思います。
特に和光市とか全ての湧き水スポットを巡ろうとしたら丸1日は確実に持っていかれる、あと足もしぬ。
そんで、是非出向かれた際には、
デザインコンセプト・ステーションカラーを考えながら歩いてみてください。少しだけ楽しかったりします。